すみれ|医療法人 橋本医院|こすもす

Ubuntu 12.04 LTS上へのConquestのインストール及び運用の記録

1.はじめに

本文書は、フリーのDicomサーバソフトウェアであるConquestをUbuntu 12.04 LTSにインストールし、運用開始するまでの作業記録です。

2. Conquestとは

Conquestは、フリーのDicomサーバソフトウェアです。
UC Davis、Mark Oskin 先生の USDMC DICOM code を元に、オランダがんセンターのLambert Zijp 先生と Marcel van Herk 先生が開発したソフトウェアだそうです。

3. Conquestダウンロード先

Conquestのバイナリ(conquestlinux1416.tar.gz)は、下記サイトから入手します。
http://ingenium.home.xs4all.nl/dicom.html

4. 事前準備

c++のコンパイラ、MySQL本体、プログラムからMySQLを操作するためのプログラムヘッダが必要となります。
全てapt-getコマンドを用いて入手可能です。入手する際の使用コマンドは下記の通りです。

  sudo apt-get install gcc
  sudo apt-get install mysql
  sudo apt-get install libmysqlclient15-dev

5. インストール手順

基本的には、下記サイト(やさしくIT・ゆっくりIT)の方法そのままで問題ありませんので、下記のサイトを参照ください。
http://www.systemcraft.co.jp/index.php?page_id=0&block_id=96&active_action=journal_view_main_detail&key=jos2qi1ui-96&post_id=208&comment_flag=1

この状態で dgate を実行すればConquestサーバを起動できますが、使用するためには下準備が必要なので、下準備を行います。

6. 使用開始前の下準備

6.1 dicom.ini修正

デフォルト設定のままでは、MySQLサーバのパスワードがデフォルトのままになっています。
conquest/dicom.iniの24行目を修正し、アクセス可能なパスワードに変更します。

6.2 acrnema.map修正

conquest/acrnema.mapの内容を修正することにより、画像の入力元や、出力先を規定することが出来ます
。 CONQUESTSRV 127.0.0.1 5678 as と記載されている下を修正することになります。
以下にいくつかの例を示します。

(1) OpenDolphin(電子カルテ)からの閲覧を可能とする場合

以下のように記載します。

Dolphin1  8104 un

OpenDolphin側でAEタイトル(この場合"Dolphin1")やポート番号を変更した場合はこの限りではありません。
なお、OpenDolphin側でも、[その他]→[PACS]タブ の画面から、接続先のIPアドレスとAEタイトルを入力する必要があります。
Conquest Serverの設定を他に変更していなければ、AEタイトルは「CONQUESTSRV1」、ポート番号は「5678」です。OpenDolphinのデフォルトのポート番号とはなるので注意が必要です。

(2) 外部機器(CRなど)からの画像送信を受け付ける場合

以下のように記載します。

<機器のAEタイトル>  <ポート番号> un

AEタイトルや、ポート番号は機器によって異なります。

●注意事項●

複数台のPCから画像を閲覧する場合、たとえビューアが同じでも、AEタイトルだけは変更が必要です。
PC1・PC2の2台のPCでそれぞれOpenDolphinを用いている場合を例とすると、PC1で使用しているOpenDolphinのAEタイトルと、PC2で使用しているOpenDolphinのAEタイトルには別の値を設定する必要があります。たとえば、"Dolphin1" "Dolphin2" などとする必要があります。

6.3 Ubuntu 12.04との相性問題解決のための細工

Ubuntu 12.04を用いた場合、組み合わせの問題か、DICOMサーバから取得した画像が乱れて表示される現象が発生することが知られています。
この現象の回避のために、ソースコードを下記のように書き換え、conquest/maklinux_mysqlを再度実行します。

●書き換え箇所●

buffer.cxxの45行目、DEFAULT_BREAK_SIZEを32600から8192に書き換える。
下記はdiffの出力結果です。

*** 42,48 ****

  #     include "dicom.hpp"

! #     define  DEFAULT_BREAK_SIZE      8192

  BufferSpace   ::      BufferSpace(UINT        Alloc)
  #ifdef __GNUC__ //Faster with member initialization.
--- 42,48 ----

  #     include "dicom.hpp"

! #     define  DEFAULT_BREAK_SIZE      32600

  BufferSpace   ::      BufferSpace(UINT        Alloc)
  #ifdef __GNUC__ //Faster with member initialization.

参考:http://forum.image-systems.biz/viewtopic.php?f=33&t=14219

◆6.1~6.3の設定変更を実施後、conquest/dgate を実施すると、Conquestが起動します。
なお、Dicomビューアや各種画像サーバからのアクセスを、サーバのログで確認したい場合、 conquest/dgate -v を実行すると、ログを確認できます。
動作確認の際、何らかのアクションを取った際(画像出力を行った、外部から画像を取得した)、ログが出力されるかどうかは、うまく動作しているかどうかを判断するための役に立ちます。(ログの量が多いので全てを確認することは不可能でしょうが……)

7. 自動起動の設定

毎回手動でdgateコマンドを実行していては、サーバ機が何らかの要因で再起動した場合に不便です。
そのため、serviceを使って、自動的にConquestのdgateが立ち上がるようにしておきます。

/etc/init.d/ に下記のシェルスクリプトを作成します。
(なお、起動日をログファイルとして残すようにしています)

FileName: conquest.sh

#!/bin/sh

DATE=`date +%Y%m%d`

case "$1" in
  start)
    cd /usr/local/conquest
    sudo ./dgate -v >> log/conquest_$DATE.log &
    ;;
  stop)
    kill `ps -A | grep dgate | awk '{print $1}'`
    ;;
esac

その後、serviceコマンドで本サービスを登録し、有効化します。

 $ sudo service conquest.sh default
 $ sudo service conquest.sh enable

これで、サーバ機を再起動した場合、即座にConquestが起動するようになります。

▼付録

▼付録1. 当院の構成

2013/01現在、当院では下記のサーバマシンでConquestServerを運用しています。

  名称:  PRIMERGY TX100 S3
  メモリ: 4GB
  HDD:  913GB
  CPU:  Intel(R) Xeon(R) CPU E31220 @ 3.10GHz
  O S:  Ubuntu 12.04 LTS

このサーバに対し、DigitalCore社様のOnis Viewer(http://www.onis-viewer.com/)を使用することにより、画像の参照・閲覧を行っています。

▼付録2. 参考にしたサイト

(1) やさしくIT ゆっくりIT「Conquest DICOM on Linux」
http://www.systemcraft.co.jp/index.php?page_id=0&block_id=96&active_action=journal_view_main_detail&key=jos2qi1ui-96&post_id=208&comment_flag=1

(2) Official Support Forum of IMAGE Information Systems Ltd. (DEFAULT_BREAK_SIZE書き換えの情報取得のために)
http://forum.image-systems.biz/viewtopic.php?f=33&t=14219

(3) Ukawaiin.com 2008/04/30 CONQUESTをサーバーに、K-PACSをマルチクライアントにする。
http://blog.ukawaiin.com/2008_04_01_archive.html

戻る

著作者
医療法人 橋本医院
院長:橋本 公昭